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2006年06月02日

AED(自動体外式除細動器)(4) 個人で・・ひとつ

心臓に疾患を抱えたご家族がある場合は、AEDがそばにあれば・・
と、お考えになるかもしれません。
スポーツをする子供がいると、あれば安心というものです。
野球のボールが胸に当たっただけで、衝撃はそれほど強くなくても、心室細動がおきることがあるそうですから。

AEDの価格は、どのくらいするものなのでしょう。

案の定、お高いです。
レンタルサービスをしている会社もありますので、資料をとりよせてみましょう。

レンタル料金は会社によって金額に開きがあります。
販売価格もオープン価格のようですので、高いと思ったら、ここはひとつ、交渉で。


販売・レンタル
セコムAEDパッケージサービス
救命コム
日本光電

販売
日本メトドロニック
フクダ電子

2006年06月08日

チャングム 『大長今』宮廷女官チャングムの誓い 医女修行(1)五色診

宮廷での勢力争いから、あらぬ嫌疑をかけられたチャングムは、スラッカン(水刺間)の女官から奴婢に身分を落とされてチェジュド(済州島)に流されます。
チェジュドは、韓国の南にある島で、東に向かうと近くに長崎県の五島列島がある、
古くから流刑の地とされていたところ。

チャングムは数度の脱出をはかった後、医女になると宮廷へもどる道が開けることを知り、チェジュドの医女チャンドクの弟子になります。

奴婢が医女に・・・

当時は、人の体に触れる職業は卑しいこととされ、妓生(芸妓と娼婦を兼ねる)と同じ扱いをされていた由。
身分の低い、最下層の奴婢のする仕事だとされていました。
また、女性が男性の医師に体を触れさせることも恥ずべきことだとされていたため、治療を受けずに命を落とす女性たちが多く、15世紀初めに王が定めた朝鮮王朝独特の女性医師の制度が医女なのです。

さて、
わけありの医女、チャンドクの教え方がすごい。

第30話:新たなる挑戦
ご覧になっていて、チャンドクがチャングムに教えていた「五色診」、顔色の種類、患者の特徴を聞き取れました?

顔色は青、赤、黄、白、黒の五種類に分けられ、これを「五色診」という。

 青=寒証
  お血(おけつ)*、通風 ひきつけが考えられ、患者の顔や肌、手足の爪、唇にあらわれる
 赤=熱
   体内にこもる実熱と、からだが弱って出る虚熱がある
   実熱は、目、唇、舌が赤く、重くなると顔全体が赤くなる
   軽い虚熱は、頬骨のあたりが午後から赤くなる
 黄=虚証、湿証、黄疸
   黄疸には陽陰がある
 白=虚証、寒証、脱血、脱気  
 黒=腎虚、寒証、水利、お血(おけつ)、痛証
   かぜ、脳卒中の前兆

「内因」こころと体の関係:
怒りは肝臓、憂いは肺、喜びは心臓、思考は脾臓、悲しみは肺と関係。
肝臓が弱いと悲しみを感じやすい。
おそれは、腎臓と胃からうまれ、
驚きは血の陰と気の陽の気運が混じわって起こる。

チャングムは本を一冊わたされ、これを翌日までに暗記するよう言われます。


医女編は、字幕スーパー版が見たい・・。
*「おけつ」のおの字が出ません。病だれに於と書きます。


2006年06月09日

チャングム 『大長今』宮廷女官チャングムの誓い
  医女修行(2)証

東洋医学の聞きなれない言葉がつぎつぎ出てきます。
診断治療法は、西洋医学とかなり異なります。

西洋医学は、症状から病名を診断し、病名に合った対処療法おこないます。
東洋医学では、体質、精神状態、症状、病因などを総合的にとらえて「証」を判断し、体質や病気の本質を根本から治します。
判断した「証」は治療法そのものです。病名が同じでも、いくつも証はあるわけです。

証=病人の体質や状態
証は、虚、実、寒、熱、表、裏に六分類され、さらに、
実熱表は陽、虚寒裏は陰に大別されます。

この分類を「八綱」と言い、証を決める重要なてがかりです。
表裏には半表半裏の状態もあります。
陽には陽盛(実─熱─表)、陽虚(虚─寒─表(裏))があり、
陰には陰盛(実─寒─裏)、陰虚(虚─熱─裏)があります。

虚は、虚弱体質、長患いや誤治(ごじ=誤った治療)で生理機能が衰えた状態、または、失血、大汗、外邪(外からの病気の原因)で、生命活動に必要なエネルギーが不足している状態。
実は、ふだんから頑健で、生理機能も旺盛。外邪にさらされると生体は激しく抵抗し、体に悪いものがたまりやすい。

チャングムはここまでで、陰陽五行、八綱弁証、気血水、外感内傷、五臓六腑・・・
および、望診の基本を学んでいるようです。
えっつ? 一晩で?!

望診は、直接目で見て観察する診断法です。
診断法には、他に聞診・問診・切診があります。四診といわれます。
切診には脈診と触診があります。
チャングムがつぎに学ぶのが脈診ですね。

ここまで、ずいぶんいろいろ出てきましたね。
でも、大丈夫。
チャングムと違って、体質の異なった大勢の患者さんを診るわけじゃないですから。
せいぜい、自分と家族の体質をみて、正常か、正常じゃないか、
ほおっておいても治る状態か、急を要する病気かなどを判別して
応急手当、養生法などが分かればいいんですよね。

家族はだいたい体質が似ていますから、
両親を観察すれば、子供たちはどちらかに似るか、どちらかの祖父母か、兄弟に似ています。
食事、生活環境などの要因は、おそよ同じ。

ということは、東洋医学の基礎を学んで、証を何パターンか覚えておくと、
かなり役立つかも・・。

2006年06月11日

チャングム 『大長今』宮廷女官チャングムの誓い
  医女修行(3)脈診

チャンドクは、チャングムに徹底的に基本を暗記させます。
「料理は失敗すればまずくなるだけ。医術は人の命を奪います」
「暗記した事が基礎となり、実践で理解して経験となるのです」

入院患者の脈をとるよう言われたチャングムは、まるで
食材を吟味しているよう。

中身のない丸いねぎを押した感じ=こう脈
→出血があった証拠。吐血、鼻血、大小便で失血、吐血(結核)
張った弓の弦=弦脈
→集まった気血が広がらない状態。 
暑さ寒さが厳しいときに出る脈。片方だけのときは腹痛、
子供のひきつけるときも出る難しい脈。
牛肉を煮込むとき、油をとるためにかぶせた紙を押した感じ=浮脈
→浮きながらも力があれば風症、力がなければ虚証。
細数(さいさく)脈→糖尿の脈で細くて早い。
数脈は一呼吸で6回ぐらいの脈拍。実証、気虚。

似ている脈:
浮脈は浮いているがとぎれず、こう脈はとぎれる。
弦脈は張った弦、緊脈はあんだなわ。
牢脈と実脈。牢脈は沈んで力強い。実脈は浮いているが力強い。
滑脈は滞らず滑らかな脈で、数(さく)脈は一呼吸に6回脈を打つ。

以上は、ドラマでチャングムが学んでいた部分。

一般に病脈は、
脈の位置「浮・沈」、速さ「遅・数」、強弱「虚・実」などから分類され、
主なものに28種あります。

浮類=浮脈・濡脈・洪脈・こう脈・革脈・散脈
沈類=沈脈・弱脈・伏脈・牢脈
遅脈類=遅脈・緩脈・渋脈・結脈・代脈
数脈類=数脈・疾脈・促脈・滑脈・動脈
虚脈類=虚脈・細脈・微脈・短脈
実脈類=実脈・弦脈・緊脈・長脈

脈の取り方は、
3本の指先を患者の手首にあて、1カ所の脈を3段階に分けて(浅く触れる、中位、深く触れる)探り、両手首からあわせて18種類(上腹部(上焦)、上腹部(上焦)、中腹部(中焦)、中腹部(中焦)、下腹部(下焦)、下腹部(下焦)、大腸、小腸、胃、胆、三焦、膀胱、肺、心、脾、肝、心包、腎)の脈情報を得て病気の所在、現状予後を診断します。
(脈の取り方:ツボ探検隊さん、参考にさせていただきました。)

これは、かなり難しいので雰囲気だけつかんでおくことにしましょう。

ところで、文字からイメージするものとかなり異なっている言葉があります。
気・血・水、肝、腎、脾、心包などです。

2006年06月13日

チャングム 『大長今』宮廷女官チャングムの誓い
  医女修行(4)証をきめる物指し:陰陽



「証」を決める基準のおさらいをしてみます。

 第31話で、船酔いで意識不明になったカン・ドックおじさんが薬房に運ばれてきます。即効性のある鍼治療にするか、効き目は遅いけれど安全な灸にするか、さんざん迷った挙句、鍼に自信がないチャングムは灸で治療していましたね。

 「証」は、「どういう場合に」「どんな状態のときに」を見極めて、どの治療方法があてはまるかで判断されます。これには、薬方(投薬)、鍼、灸、指圧、食養なども含まれます。
「証」は、西洋医学的にいうと、一種の症候群に病態の逆行程度と体質を加味して判断された病態といえるようです。

 どの方法を用いるかを判断するには根拠が必要です。
 その物指しになるのが、「陰と陽」「虚と実」「寒と熱」「表と裏」「気血水」「四診」です。

「陰と陽」

 病気を熱のある病気(急性の熱性疾患、熱病=傷寒)と、熱のない病気(慢性病=雑病)の二つに大別します。
 熱性疾患では〈陰〉〈陽〉がはっきりと現れてきます。病態が積極的で発熱をもって強く反応するものを〈陽〉、病態か消極的で寒冷傾向のもの〈陰〉といいます。

 ふだん体が丈夫な人が風邪をひいた時に現れる病態で『熱感、頭痛、うなじのこわばり…』といった強い反応を示す病態を〈陽証〉といい、葛根湯を用いるとよく効きます。つまり、葛根湯を飲むべき〈証〉ですので葛根湯証といいます。
 一方、虚弱体質で冷え性の人や老人が風邪をひくと、体温が高いわりには熱感が少なく、寒けが激しくて頭を冷やされるのをいやがり、脈は沈んで小さいといった状態になります。これは〈陰証〉で、用いられる方剤は麻黄附子細辛湯になります。

 〈陰〉〈陽〉は固定されているものではなく、普段体力があって丈夫な人でも、風の初期に治しておかなければ、口が苦くなったり、はきけがしたり、食欲不振といった胃の障害がおき、熱が出たり引いたり(往来寒熱)、咳が胸の奥深くから出るようになるなど、病邪が身体の内部に侵入してきます。
 
 風邪が抜けきらずに腸に熱がこもったままになり、だるい、調子がもどらない、微熱が続く、寝汗が出るなどの経験はありませんか? 
このときは、痔まで出たりします。

 このように、病態の進行度によって、〈陰〉〈陽〉はさらに三段階ずつ六病期に分けられます。三陰三陽、六経弁証といって、漢代の張仲景が「傷寒論」で示しています。

 陽=太陽病→小陽病→陽明病
 ↓
 陰=太陰病→小陰病→蕨陰病

 それぞれの段階で証が異なり、治療法も変化します。
 病態がどの段階から始まるかは、日ごろの体力・体質から、人それぞれです。

 慢性疾患や無熱性疾患では、発熱疾患のときのように三陰三陽は、はっきりとは現われず、参考程度にします。

〈陰〉〈陽〉は、このほかに陰液(血・液津)、陽気(=気、機能)を意味する場合があります。

2006年06月14日

チャングム 『大長今』宮廷女官チャングムの誓い
   医女修行(5)証をきめる物指し:虚実

「証」を決める基準のおさらいです。

「虚と実」

 〈虚〉は、うつろ、力の弱い状態で、〈実〉は充実の実、力が強く中味のつまっている状態をいいます。

 病人にあてはめると、体力気力が充分にあって生体反応か強く、体力がこれに拮抗しようとしている状態を〈実〉といい、皮膚、筋肉、腹部とも固く緊張しています。
〈虚〉は、老人などのように生体反応の弱い状態をいいます。
病毒か体内に入ってきても、それに対抗する力が無く、気力、体力ともに衰えていて、皮膚や腹の張りがなく全体に無力性です。

 一般的に、実証の病人には下剤、瀉血、発汗などの攻撃的な治療法(瀉法)をとり、虚証の病人には体を温めるなどの補う薬(補剤)を用い、治療法も保存を主体にします。

 虚実の判定を誤ると効き目がないばかりか、状態が悪くなったりします。
こういうときは方剤の選び方を誤ったのであって、西洋医薬品の副作用とは性格がことなります。


第32話で、キム・チソンの息子が長い間の病で苦しんでいましたね。

 丈夫そうなつくりの少年ですが、息が苦しく体が熱っぽい、咳が出て冷や汗をかく。
 7歳のころから3年、食が進まなく体が弱い。医師は「食ぎゃく」と診断し、投薬を受けるが体は弱ってきている。

 チャングムは、肉付きの良い雄牛を一頭つぶし、足と首と、ひれの部分の筋と膜を取り除き、肉だけを選んで小さくきざんで骨とともに大きな釜で煮詰み、汁ををこして少年に飲ませます。
 
 少年は吐き気に苦しみますが、チャングムのとった方法は、これまで医師がおこなっていた症状を抑える治療と異なり、原因を根本から取り除くことでした。

 「胃腸にたまった痰、お血(おけつ)が胃腸を傷つけた状態です。
 胃腸に浮かんだもの、ひっかかったもの、腐ったものをすべて体外に押し出して、病の原因を取り除いてから、薬を飲むと効くのです。
 3年間は牛肉は控えること。」


病理の虚実

 人体は陰液と陽気の平衡状態で正常な状態か成り立っているとする学派では、その量と機能の失調を虚実で表現しています。

 〈虚〉は、陰液または陽気の不足している状態をいい、〈実〉は病因(邪気や病理産物)の多い状態をさしています。

 少年のケースは〈実〉証にあたるようです。

2006年06月16日

チャングム 『大長今』宮廷女官チャングムの誓い
医女修行(6)証をきめる物指し:表裏

「証」を決める基準のおさらいをしています。

「表と裏」

 病気がどの程度進行しているかを判断する基準に〈表裏〉があります。
〈表〉はからだの浅い部分、体表部で、皮膚や頭部、運動器を指します。
〈裏〉はからだの深い部分や腹部内臓器で、消化管をさらに〈内〉、〈内〉以外の大部分を〈外〉とに分けています。

 「史記」に出てくる扁鵲(へんじゃく)という医者が述べたという話があります。
 
 「病が体表部にあるうちは罨法(あんぽう)で治ります。血脈にあるうちは鍼石で治ります。腸胃にあるうちは酒醪(ろう)で治ります。しかし、骨髄に入ってしまっては、もう手の打ちようがありません。」

 病は身体の表から現われ、徐々に体の内部に侵入する。
どの位置に病邪があるかで病の進行度を判定し、それぞれの位置に対応した治療法をあげています。
骨髄は、現代医学でいう骨髄とは異なるようです。

 〈表〉〈裏〉は、六経弁証(三陰三陽の六病期)での経過診断と対応して用いられます。
 六病期の中で、死の転帰をとる可能性のある病期では、現代医学との併用を考慮する。
 〈表証〉は、病の初期にみられます。
 〈裏証〉は人体内部の病変で、それには二通りあります。
1つは、表から病邪が入り、内部に進行していったもの。
もう1つは、精神素因、生活素因、内生素因(痰飲・お血)、体質素因による体内に原因があるものです。

一般的に、病が表にあるうちは病勢は浅く、軽くて治療も容易。
病が裏にあるものは、病勢が深く、強くて治療も困難になってきます。

〈半表半裏〉は、病が完全に表にあるのでもなく、完全に裏に入ったものでもない、表と裏の中間にあるものをいいます。

六病期と表裏の対比:

 太陽病=表    →感染症の初期症状(消化管を除く)
 少陽病=半表半裏 →遷延性感冒
 陽明病=裏    →急性の細菌感染症
 太陰病=裏    →消化管の無熱性の機能失調状態
 少陰病=表裏   →上気道の感染(体力があれば太陽病)
           下痢、脱水症状
 厥陰病=裏    →生命の危機状態
           下痢による脱水や貧血による循環不全
           上熱下寒(発熱、手足は冷たい)
          脈は微細か頻脈  

死に至る可能性のあるものは、陽明病、少陰病、厥陰病。

2006年06月18日

チャングム 『大長今』宮廷女官チャングムの誓い
   医女修行(7)証をきめる物指し:寒熱

 「証」を決める基準のおさらいです。

「寒と熱」

 現代医学の熱(=体温上昇)とは、とらえ方がやや異なります。
東洋医学の〈熱〉は、必ずしも体温上昇をともないません。
本人に熱感のある場合を〈熱証〉といいます。
こういうときは寒涼剤で体を冷やす治療をします。
 
 体がほてって熱い、口渇がある、粘り気のある黄色い洟(はな)や痰、色の濃い尿がでる、のどが痛い、冷たいものがほしいなどの症状のときは、体温上昇のあるなしにかかわらず、〈熱証〉です。

 体温上昇があっても、悪寒がして冷やされるのをいやがる場合は〈寒証〉ですので、体を温める温熱薬を用いて治療します。

 西洋薬にはこの温熱薬にあたる薬剤に乏しく、〈寒〉〈熱〉にあたる概念がありません。
しかし、熱感があって細胞浸潤を伴った炎症状態や機能亢進がある場合を〈熱〉、体温上昇があっても悪寒を自覚したり循環障害を伴った冷感、下痢状態、機能失調状態などの症状があるときは〈寒〉と考えてよいようです。

2006年06月19日

チャングム 『大長今』宮廷女官チャングムの誓い
  医女修行(8)証をきめる物指し:気血水<気>

チャングムはどうにか医女試験に合格し、宮中に戻れる可能性がでてきました。

第33話「うぬぼれ」で、医女見習いたちはシン教授からしごかれます。

「草以外に薬に用いられるものとは?」
「薬として用いる土、18種類をあげよ」
とつぎつぎ質問を浴びせられます。
「草以外に薬になるものは、木、穀物、動物、昆虫、水、玉、石、土、金属」

(土も薬になるなんて、東医学は奥が深い!!)

もちろんチャングムは知っているのですが・・・
なんと成績は不可。

天文学の時間もあります。
シン教授は、天文図を掲げて星座を学ぶ必要性を説きます。

「星座を見ると季節が分かり、28宿の星座の動きをよむことによってその年の天候が分かる。
寒くなるか、暑くなるか、湿度が高いか低いか」
「人も自然の一部、病も自然の中で捉えねばならぬ」
・・・。
・・・。


「証」を決める基準のおさらいを続けます。

「気血水」

これまで、証をきめる物指しとして、〈陰陽〉〈虚実〉〈表裏〉〈寒熱〉をみてきました。
もう一つ大切な診断基準に、〈気血水〉があります。
〈水〉は、「津液(しんえき)」ともいいます。
〈気血水〉は、無熱性疾患や慢性疾患の病因を、内因から探る判断基準になっています。

気の働き

〈気〉は、「生命を維持するために必要なエネルギーのようなもの」で、
「働きはあるが形がなく、聞くことも見ることもできないもの」であり、
人体の構成と生命活動の最も基本となるもので、
「天地と調和して生命活動を営むための生理機能」だといわれています。


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2006年06月20日

チャングム 『大長今』宮廷女官チャングムの誓い
  医女修行(9)証をきめる物指し:気血水〈血〉

前回は、〈気〉について触れました。

元気、病は気から、気の病、気がぬける、気が重い、気のせい、気詰まりなど、
日常使っている気のつく言葉は、漢方の〈気〉を、遠からず言いえているようです。

〈気〉が上衝すると、のぼせ感、激しい頭痛、気の高ぶりなどの症状が出ます。
更年期の女性にみられる「のどに梅の種がつかえているような感じがする」という場合は、のどに気が鬱滞している状態です。
検査で異常が見つからなくとも、東医学では梅核気(ばいかくき)といって、ちゃんと治せるんですね。
咽中炙臠(いんちゅうしゃれん=あぶった肉をのどに貼り付けたような感じ)とも表現されます。

みぞおち附近に気が滞ると上腹部が張り、痛んだり苦しくなったりします。
理気薬で気のめぐりをよくすると異常感はなくなりますので、検査では異常のない「気のせい」になりそうな症状は、漢方はお手のものです。


今日は〈血〉について調べてみます。

血の働き

〈気〉は、〈血〉〈水〉をコントロールし、〈気〉のめぐりが悪くなると〈血〉や〈水〉のめぐりも悪くなり、〈血〉〈水〉による異常も引き起こされます。

〈血〉は、脈管内を流れて全身に栄養分をはこび、潤す働きがあります。
現代医学の血液のみでなく、栄養分も体液も含みます。また、〈血〉は精神活動を支えています。

〈血〉が足りていると、顔色がよく、筋肉も充実していて活力があります。皮膚もよく潤って髪もつややかで、視力もよい
東医学では、髪を「血余」というそうで、髪は血の活力の余りだとすると、髪の抜け落ちる病気や髪の不足している方は、血の力が足りていないということでしょうか。

〈血〉の障害は体質、症状によって2通りに分けられます。
共通の特徴は、
 充血、うっ血、紫斑、皮下粘膜下の出血、腹部の張りや圧通、生理通、生理不順などのお血(お=やまいだれ+於)症状で、血液の流れが停滞して血管の局部や臓腑のなかに滞っている状態。

1つは、血熱タイプ。
 頭痛、イライラ、多怒、冷えのぼせ、口渇などがあるときで、陽証(ほぼ熱証)体質。

もう1つは、血虚タイプ。
 顔色が青白く、疲れやすい、頭重感、めまい、肩こり、四肢の冷感、不眠、四肢のしびれやつっぱりなどが見られるときは、陰証(ほぼ寒証)体質。
 冷え性の人の血管に、さらに冷えが侵入して血液の循環が悪くなった状態。

血虚と貧血は同じものではなく、血液検査で異常がなくとも血虚状態であれば、温熱薬で血液を温めて循環をよくします。

2006年06月22日

チャングム 『大長今』宮廷女官チャングムの誓い
  医女修行(10)証をきめる物指し:気血水〈水〉

前回は気血水の〈気〉〈血〉まで見ました。
今日は〈水〉を調べてみます。


水の働き

〈水〉は、リンパ液、消化液、浸出液、関節液、唾液、痰、涙、尿などを含み、人体内の正常な水分のことをいいます。
各臓器、組織器官を潤し、働きを円滑にするなどの働きがあります。

〈水〉の異常によって起こる障害

水が不足すること(津液不足=傷津)による障害と、水分代謝の異常から体のあちこちに水分がたまって引き起こされる障害があります。

[津液不足]
 高熱による場合=
   発熱、いらいら、口渇、舌紅、苔黄(舌の苔が黄色い)などの症状
 気虚を伴う場合=
   息切れ、疲労、舌淡歯痕(舌色が淡く歯型がついている)、舌苔は少。

 粘り気の強い、なかなか切れない痰は水分の不足ですから、麦門冬湯で潤すと痰が出やすくなります。

[水分代謝の異常]
 水液の停滞する部位により、4種に分類。総称して痰飲(広義)といいます。

 痰飲(狭義)=胃内停水。胃腸に水滞したもの。胃部で振水音がする。
   胃に水滞したものでは、動悸、息切れ、めまい、胸脇のはりがある。
   腸に水滞すると、頭のふらつき、下腹部拘急(こうきゅう)(下腹のつっぱり)、
   臍下の動悸、尿量減少がみられる。
 支飲=胸隔に水滞したもの。咳、呼吸困難、薄く泡状の痰が多い、
   顔面の浮腫、舌の色は淡白。
   急・慢性気管支炎、肺水腫にあたる。
 懸飲=胸肋に滞留したもの。胸肋痛、咳喘痰多く、胸肋脹満、呼吸促迫。
   咳をするときに引きつり痛む
   一般に痰飲より症状が重い。
 溢飲=汗が出ず、飲んだ水が四肢に停留する。四肢浮腫、口渇なし。
   

 色白ふっくらの水太り体質の人は、少し動くと汗をかき、足がむくみやすい、息切れがして疲れやすく、中年を過ぎると膝関節が痛んだり腫れたりします。これは、体の表面や皮下組織に水液が停滞しやすい体質のせいで、利水剤で余分な水を尿として排泄します。
漢方は電解質のバランスを崩さず余分な水だけ排泄します。

 痰飲(狭義)は胃腸から体中への水分吸収の悪い人に現れやすい症状です。普段から水分の摂取量の多い人、夏に冷たいものを多く飲むときにも現れます。

2006年06月24日

チャングム 『大長今』宮廷女官チャングムの誓い
  医女修行(11)証をきめる物指し:四診〈望診〉

基本のおさらいも、ようやく四診にたどり着きました。

東洋医学の診断で、最終的な証の決定は、この四診によります。
「望診」「聞診」「問診」「切診」の4つにわけられます。

望診

「望診」は、顔つきや顔色、皮膚の状態、体型、体質、舌の状態、精神状態などを見ます。
直接目で見て観察し、疾病の位置やタイプ、軽重、予後を判断します。
現在の視診にあたります。


チャングムが医女修行をはじめたときに、チャンドクから最初に教わったのが、四診のうち、〈望診〉でしたね。

顔色の種類をみる。
青いか、赤いか、黄色いか、白いか、黒いか。
〈望診〉といいます。

舌をみる舌診は、色、肉付き、舌の苔の状態、苔の付着する場所、津液の出具合などで病態を判別します。
舌の各部分と臓器は密接に関係しているので、病変の所在位置や、部位の深浅、虚実などがわかります。

舌と内臓の関係
 舌の先端→心肺機能
 舌中→脾胃の機能
 舌の両側→肝胆の機能
 舌根→腎、大腸
 舌の裏側→心(心臓と精神活動をまとめる脳神経)

正常な舌の状態は淡紅色で、薄く白い苔がついています。
舌面は潤いがあり、舌中に裂紋があったり舌根にやや厚く苔が見えても正常。
季節や年齢によっても違いがあり、
冬に白い苔の人が、夏になるとやや粘り気のある黄色い苔になっても正常。
タバコ、酒を飲む人や便秘の人の舌根に厚い苔が見られたり、生理中の女性で舌の先や舌の両側が赤くなったり赤い斑点がでている場合も正常範囲。

舌の色

・薄赤→正常
・赤→熱証。苔が黄色いものは温熱証で、脾胃(消化器系)が湿熱に冒されている。
・赤→苔がところどころ剥がれている。気陰両虚。胃が弱く内熱があって栄養不足状態。
・濃い赤→舌がやや厚く、舌尖にぶつぶつができて歯痕がある。
  血熱傷陰。全身の感染症。
・暗赤→舌全体がややはれて厚い。舌面には浅い裂紋。苔が薄くほとんど見られない。
  血熱お血(おけつ)証。急性熱性病。
  内熱(脳卒中、高血圧症、アルコール性肝硬変)などでほてり、口渇、水をほしがらない場合。
・色が薄い→舌が厚く舌辺に歯痕があるもの。舌苔が薄く淡い。気虚水毒証。
  水液が体にたまっている状態。
・紫→舌の大きさは普通。色は淡く青や紫が混ざっている。
  舌苔は薄白。気滞お血(おけつ)証が多い。
  肝硬変、腫瘍、外傷、癌、生理痛、慢性病などで多く見られる。
  ストレスの多い中間管理職は自律神経が失調しがちなので要注意。
・青紫→舌尖に赤点。気分障害によるお血証。血液がどろどろ。新陳代謝が遅い。
  栄養状態が悪いので舌粘膜に裂紋が出る。
  頭痛、めまい、のぼせ、肩こり、便秘、更年期障害。精神不安、不眠症。
  ストレスの多い女性は要注意。心火上炎証。
・淡白→陽虚。水毒。体が衰弱して寒さに弱い。

舌の性質と色から見たものに白黴苔、滑苔、黒燥苔、灰苔、黄燥苔、白腑中剥苔、厚腑苔などがあります。

舌の形態と乱脈から見たものに胖大舌、痩薄舌、老舌、裂紋舌、紅点舌、舌瘡、歪斜舌、乱脈異常などがあります。

いずれも、一目見ると、普通じゃないと思わせる特徴的な舌です。

風邪をひいた折に舌を見ていると、熱の時期、咳の時期、胃腸障害がおきたとき、治りかけのときなど、時期によって変化していくのが見て取れるので、異常な舌を見分ける訓練になるかもしれません。

舌の状態は、おもに『舌診カラーガイド』を参考にさせていただきました。
ありがとうございます。






2006年06月25日

チャングム 『大長今』宮廷女官チャングムの誓い
  医女修行(12)証をきめる物指し:四診〈聞診〉〈問診〉

妓生(キーセン)代わりに宴席に出よといわれた医女修練生たち。
これに従わなかったチャングムとシンビは、イ・ヒョヌク教授に不可の成績を付けられ落第に・・、
と思ったら、過去に苦い経験をもち、ことさらチャングムに厳しかったシン教授はこの局面を見事に打開。知恵者でもありました。

ミン・ジョンホといい、ウンベクといい、このシン教授といい、いい男たちが出てきますね。
でも、『宮廷女官チャングムの誓い』の面白みは、そっちのほうじゃないんですね。


もっと面白い、証のおさらいです。
四診(望診・聞診・問診・切診)のうち、〈聞診〉と〈問診〉を見てまいります。


聞診(ぶんしん)

 「聞診」は、聴覚と嗅覚で診断する方法です。
 聴覚では声の大小、呼吸音、あくび、ためいき、いびき、くしゃみ、ゲップ、息切れ、喘鳴などを聞きます。また、胃部の振水音、腹部の雷鳴なども聞きます。
 鼻で聞くのは、体臭、排泄物の臭いなどです。その臭いの質により病状を診断します。


問診(もんしん)

 現在でも問診といいます。
 病人やその家族から、証を判断する上で必要な情報を聞き出します。

 寒熱、汗、頭や身体の状態(めまい、ふらつき、痛みやしびれなど)、
大小便、飲食、胸脇胃腹部、耳鳴、渇、月経など。

 西洋医学では役に立たないような情報も、東洋医学では重要な手がかりになる場合があり、情報の活用の仕方が異なります。

チャングムとシンビが、診断の実習で患者から聞き出した、

「口寂しいときに塩をなめる、土やお茶の葉が食べたくなる」

という情報が重要な診断の鍵になりました。
望診と聞診、切診では同じにみえた二人の患者は、ここで原因が別にあることが分かりました。
違った処方で治療することになります。

また、異なった症状でも、原因が同じ二人の患者は同一処方になりました。

 チャングムは知識のみで診断した自分の過ちに気がつきます。

「傲慢は断定を生み、誤った断定は人の命を奪う。
患者から謙虚な姿勢ですべてを聞く、謙虚な姿勢で自然のすべてを知ろうとするのが医者だ」

シン教授の教えが身にしみるチャングムに、

「人間はそう簡単に変われぬもの」と。

2006年06月27日

チャングム 『大長今』宮廷女官チャングムの誓い
  医女修行(13)証をきめる物指し:四診〈切診〉

証のおさらいです。

チェジュドにいたときに、チャンドクから脈を診るようにいわれたチャングムが、
「中身のないネギのよう」
などと表現し、指先の感覚が鋭いと、ほめられていましたね。


〈切診〉は、直接手で触れて診断する方法です。
脈診と触診があります。
脈診については、医女修行(3)でふれました。

触診は、肌、手足、胸、腹、背などに触れて、皮膚の状態、張り、肉厚、充実度などの情報から、虚実、病態、寒熱、気血水が分かります。

触診のうち、日本独自に発展したのが漢方古方派の腹診で、中医学ではあまり発展しませんでした。
腹診は胸腹部全部が対象になります。


腹部の主な特徴的症状

[胸脇苦満(きょうきょうくまん)]=両肋骨下の抵抗圧痛。
  肋骨の端に沿って指を3、4本差し込むように這わせていくと分かる。柴胡剤の適用。

[心下痞硬(しんかひこう)]=心下部(みぞおち)につかえる感じがして抵抗や痛みもある症状。
  胃にトラブルががあるときあらわれやすい。

[心下部振水音(しんかぶしんすいおん)]=心下部を軽く叩くと、胃内からの聞こえる水音のこと。
  胃内停水。

[小腹(臍下)不仁(しょうふくふじん)]=臍下を押すとやわらかく軟弱無力。
  腎(泌尿、生殖機能)の衰えがあると現れやすい。腎虚の証。

[腹皮拘急(腹直筋の緊張)(ふくひこうきゅう)]=腹直筋の緊張がはっきりわかる状態。
  腹直筋攣急。
  腹直筋は、左右2本ともに緊張していることもあれば、片側のみのこともある。

[小腹急結(しょうふくきゅうけつ)]=左下腹部を触るだけで痛みを感じる。
  処方は桃核承気湯。お血(おけつ)の腹証

[臍痛]=臍輪の直上に圧痛を訴えるもの。葛根湯。

[正中芯(せいちゅうしん)]=お腹の真ん中に細い芯のようなものがある。
  真武湯、人参湯。

[蠕動不穏(ぜんどうふおん)]=腸の動きがはっきり感じられたり、
  時には目に見えるほど激しい動きの状態。処方は大建中湯。

[心下悸(しんかき)]=みぞおちの上下をさわるとドキドキと動脈の拍動を感じる。
  処方は苓桂朮甘湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、桂枝加竜骨牡蛎湯

[心下支結(しんかしけつ)]=腹直筋が上腹部で表面に浅く現れて、心下を支えているようにみえる場合。
  柴胡桂枝湯、四逆散などでみられる腹証。

[臍傍悸(さいぼうき)]=臍の傍らの動悸。虚あるいは神経質な状態を示す徴候。


チャングムたちの診断実習でも、腹部を軽く押して状態を見ていました。

腹証については、「腹がはる」ということばで一くくりにしていて、精神の緊張を示す腹直筋の緊張の有無、腹部の硬いしこりとの区別があいまいで、証を判別する重要な手がかりとしていなかったところを見ると、韓医学でも、日本の漢方のような腹診は発展しなかったように思います。
時代が下ればどうか分かりませんが。

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